神戸花くま法律事務所

コラム

2019.05.19

成人年齢の引き下げ

 2022年4月1日から,民法の成人年齢を20歳から18歳に引き下げること等を内容とする,民法の一部を改正する法律が施行されます。

 これにより,18歳以上の者は,一人で有効な契約ができるようになり,また,父母の親権に服さなくなります。これらによる法的な意味合いはとても大きいと考えられます。

 18歳といえば,多くの人が高校を卒業し,進学や就職といった新しいステージに進む段階です。様々な契約締結の必要性が出てくる場面では,判断力の未熟な若年者が,不利な内容の契約を締結させられる危険性が高く,これまでも20歳直後の人の被害が多かったという実態があります。従来は,18歳,19歳の人が一旦契約を締結しても,親の同意がないことを理由に,後から契約を取り消すことができていましたが,今後は保護の対象から外れてしまいます。

 これらに対する対策として,改正消費者契約法において,いわゆるデート商法などの不当勧誘行為に対する取消権の追加などが規定され,また,中高生に対する消費者教育の充実が図られていますが,被害の増加は避けられないのではないでしょうか。

 若年層がインターネットの普及により様々な情報に触れ不特定多数の人と容易につながることが当たり前となってきた社会で,私たちも,周囲の大人の一人として,様々な立場で,できることを考えていく必要があるように思います。

(弁護士 野田倫子)

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