コラム

2017.01.21

事件報告 有楽名店街の灯を消さないで!!

2017新年号事務所ニュースより

弁護士 増田正幸

 

最近は「エキナカ」と言って駅構内におしゃれな店がたくさんできています。

阪神元町駅の東口と西口の改札の間には元祖エキナカと言える「有楽名店街」(以下「有楽街」といいます)があります。1947年に開設され、居酒屋、スナック、理容店など30数店舗が営業しています。足を一歩踏み入れるとそこはなつかしさと暖かさのこもった昭和レトロの世界です。ところが、貸主である阪神電鉄は有楽街の閉鎖を決定し、現在、各店主に店舗の明渡しを求めて訴訟になっています。

その訴訟の争点の1つが「定期借家権」が成立したのかどうかということです。

定期借家権というのは「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」(平成13年施行)によって創設されたもので「契約で定めた期限がくると契約が必ず終了する借家契約」です。普通の賃貸借契約の場合、契約期間満了後、入居者が使用を継続している場合は、法により自動的に契約が更新され、家主が契約更新の拒絶をするためには、「正当事由」が必要となりますが、定期借家権の場合は、契約期間が満了すれば「正当事由」の有無に関係なく、契約が終了し、更新されることはありません。家主は「正当事由」を気にせずに、契約が満了しさえすれば無条件に立ち退いてもらえるし、賃貸借契約を続けたければ「再契約」すればよいので、家主には魅力的な制度です。反面、定期借家権の賃借人の権利は弱くなるので、法は定期借家契約を締結する場合は、「あらかじめ」契約とは別に「契約の更新がなく、期間満了により賃貸借が終了すること」を記載した説明用の書面を交付した上で説明しなければならないという厳重な要件を課しています。

有楽街の店舗賃貸借の多くはもと普通賃貸借であったのが契約期間を1年とする定期借家契約に切り替えられているのですが、借家人は普通賃貸借と定期賃貸借の相違を全く理解していません。長年の間、一年毎に「再契約」が繰り返されてきましたが、これを契約の「更新」と理解していたのです。誰が、お店をするのに1年限りの契約をするでしょうか。借家人のみなさんは営業を守るため、有楽街を守るために定期借家契約の成立を争っています。

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